2016年9月12日に立命館大学びわこくさつキャンパスにて行われました第24回日本バイオメカニクス学会において「宇宙から考える未来のバイオメカニクス」というタイトルで、山崎直子先生に講演していただきました。
無重力環境にある宇宙では、人の身体は、歩かなくても良いので筋力が減る、胴体が2~5センチ伸びる、上のほうに血液が行くので脳が身体全体の体液が増えたと勘違いし尿の量が増え体重が減る、骨密度が骨粗しょう症の患者の10倍の速さで減る、などの様々な変化が現れるそうです。
人の身体は、ジョギングなどの運動のように、重力を感じながら身体を動かすことが大切で、この重力について考えることが、高齢化社会における予防医学に役立つのではないかとのことでした。
また現在、国際宇宙ステーションでは、骨粗しょう症の薬の開発・対処法、製薬会社による創薬の基礎実験、また、iPS細胞を用いた立体臓器培養実験等が行われているそうです。また自然科学分野だけでなく芸術分野の研究も行われているそうです。
①生命の持つ可能性、②1G重力下で進化してきた地球上の生命、③テクノロジー の3つを組み合わせることが、未来のバイオメカニクスの発展につながるとのことでした。
講演の最後に、質疑応答の時間が設けられ、障害者の障害の多くが重力によって生まれているのではないかとの質問に対して、たとえ足が不自由でも、宇宙では指1本で移動出来るので、障害が障害でなくなる、我々が持っている日頃の価値観が覆る、というお話が印象的でした。